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レディ・ジョーカー/高村薫

高村薫の合田刑事三部作の最後「レディ・ジョーカー」です。いやー、高村作品は本当にいいですね。また、今回は特に小説の世界にどっぷりと浸かることができました。カナリア一押しの作品です。

上巻 毎日新聞社 1997/12出版 426p 20cm ISBN:4620105791 \1,785(税込)
下巻 毎日新聞社 1997/12出版 443p 20cm ISBN:4620105805 \1,785(税込)

何回読んでも発見があります。昔感じることが無かったことが、今回はしみじみと感じられたりしました。

今回は特に合田刑事の気持ちが、とても身近に感じられました。合田の悩み、焦り、放心・・・、なぜか心に迫ってきました。感情移入しまくりでした。他の多くの者が持っているモノを持っていない寂しさ。どうしてなんでしょうか?

そして、意外に面白い男、半田刑事。大きな罪を犯しながら、次第に快感を感じていき、ついには発狂のレベルに至る。彼はどうしてそうなってしまったのでしょうか。でも、罪を犯す快感に酔いしれるあたりは、何となく分からなくもない微妙な心理のように思えます。

また、巨大企業のトップ、城山社長。巨大な組織を動かす人間のすごみを感じました。しかし、やはり一人の人間に過ぎない存在でもありました。カナリア、結構好きでした。

作品の背景としては社会における表には出てこない巨大な深い闇。本当の巨悪は、ひっそりと、しかし確実に社会の中に根を下ろしているようです。本当に怖いお話です。

また、出口のない人生は、実にあっちにもこっちにもあるものです。それでも人は生きていかなければならないのでしょう。

終章での合田の言葉が胸に残ります。

「多分、私は今生まれたばかりで、何もかも怖いのだと思います。こうして生きていることが。一人の人間のことを昼も夜も考えていることが。人間は、最後は独りだということが・・・・」

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